不動産実務検定ブログ

2021/08/31

『原状回復工事の裏事情』

神奈川支部の工藤 一善です。


施主支給を「嫌がる」職人さんの本音
~トラブル発生時の責任ってどっち?~



アパマン経営において、効果的だと思われているコストダウン手法の一つである、
「施主支給」について、考えてみたいと思います。


これから、アパマン経営を始める方向けの説明となりますが、
施主支給とは、読んで字の如しで、施主(大家さん)が必要な部材を支給して、


工事のみを職人さんに行ってもらう施工方法を言います。


当然請求は工事費のみとなります。


その反対は、「材工」と言って材料仕入と工事をあわせて行うもので、
請求は材料代に工事費が加算されたものとなります。


施主支給が広く普及したのは、ネットのおかげだと思います。


そしてネット通販に特化した会社の販売価格は、
業者の仕入れ価格より安い商品が多くあるのも事実です。


このように、施主支給はとても理にかなった方法ですが、
施主支給を嫌がる職人さんの本音ってどこにあるのでしょう?


家電等をネット通販で購入した場合、故障については、
基本的にメーカーが保障してくれますが、


住宅資材には必ず取付け工事が必要であり、
トラブルが発生した場合、その原因を確かめる必要があります。


基本的に、材工で施工した場合、その原因が材料そのものにある場合でも、
トラブル解決の窓口となって、メーカーに修理の手配をしたりします。


このような後々のフォローも含めての価格が、
材工の中には含まれています。


施主支給を嫌う、職人さんの多くは、
トラブルが発生したときの責任の所在について、
明確な線引きが出来ない場合のことを考えていると思います。


例えば、2階の部屋のキッチンの蛇口を最新のシングルレバー水栓に、
施主支給で交換したとします。


水栓と給水管をつないだ部分から水漏れが発生して、
1階まで、漏れてしまった場合、その修繕工事は大変なものとなります。


この場合の原因は二通り考えられます。


施主支給された水栓に梱包された接続パーツが
不良品の場合と接続する際に施工ミスをしている場合です。


工事終了時の確認では問題がなくても、
少し時間が経過してから水漏れが発生した場合原因の判別がつきづらい時があります。


工事のミスなら、責任は施工した職人さんが負うべきものですが、
原因がはっきりとしない場合、その対応に困ってしまう訳なのです。


修繕費が発生してしまう場合、保険で対応できるなら良いのですが、
それもままならず、言いがかりのように工事ミスについて
言及されてしまうのが怖いのが事実だと思います。


長く付き合えるパートナーを探しましょう


私の考える、施主支給のあり方としては、
ある程度、信頼関係が築けてから、
お互いを理解した上で、進めるべきだと思います。


施主支給を希望する、大家さんの場合、比較的新しい商品を好む傾向があります。


施工するほうも、最新のトレンドを理解して、実際に施工することにより、
他の、「材工」のお客様に新しい提案をできるメリットもあります。

 

このように、持ちつ持たれつの関係が構築されている場合、
先ほどのようなトラブルが発生したとしても

お互いの信頼関係の上で解決の糸口は必ず見つかるものだと思います。



それとは逆に、コストカットを中心に考えるあまり、
工事費の安い職人さんをやっと見つけて、施主支給で工事を依頼したとしても、
後々のフォローについては期待できません。


やっつけ仕事で工事代金支払い後は
連絡もつかなくなってしまったなどと言う事も実際にあります。


もう1つ、施主支給で注意しなくてはいけないのは、
適切な材料を発注することです。


材工の場合は、全ての適合条件を調べて発注をします。


わからないことは全て、問屋さんの営業マンが対応してくれます。

施主支給の場合、不明な点の調査は大家さんが直接カタログに掲載されている、
お客様相談窓口」等に電話かメールでする必要があり、
電話が繋がるまで待たされたり、メールでの回答に時間がかかったりします。


施主支給を理解してくれる、職人さんとパートナーを組めれば、
このような不明点を解決するアドバイスはしてくれると思います。
 

最終的には、お互い気持ちよく長い付き合いのできる人間関係が、
施主支給をうまく活用するポイントなのだと思います。



▼工藤 一善 講師
https://www.j-rec.or.jp/koushi/show/54


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