不動産実務検定ブログ

2021/01/29

『住宅ローン満額借りちゃダメ!』<後編>



みなさん、こんにちは。
J-REC事務局の横山千穂です!


今回のテーマは前回よりお送りしている、

 

『住宅ローン満額借りちゃダメ!』



の後編です。


▼『住宅ローン満額借りちゃダメ!』<前編>
https://www.j-rec.or.jp/blog/381



それでは早速スタートしましょう♪


まず最初に、営業マンの言うとおりに、
ボリュームゾーン真ん中の年収500万円の人が


めいいっぱい住宅ローンを借りたら
どうなってしまうのか具体的に見ていきます!


そこで、シミュレーションをしてみたいと思います。


住宅ローンの借入可能額というのは
基本的に年収に占める返済負担率によります。


まずフラット35の返済負担率の基準では
年収500万円の場合には35%ですので


500万円かける35%で年17万円


月にすると毎月14万5,000円の負担が
限度ということになります。


ちなみに、民間金融機関の場合、
低年収の人はフラット35よりも厳しめになっています。


次に毎月の返済額14万5,000円から逆算して
どれだけ借りられるのか、


以前ご紹介した『みかローン』さんの
サイトを使って計算してみましょう。


ちなみに『みかローン』さんのサイトは本当に
色々なパターンで住宅ローンを試算できるので


ぜひ、参考にしてください!


▼『みかローン』
http://loan.mikage.to/


さて、フラット35の固定金利一定3%で
35年返済と設定すると


最大の借入可能額は約4,890万円になります。


利息は35年間合計で約1,200万円で、
元利金の合計返済額は6,090万円になります。


では、次に年収500万円の人が35年間で6,000万円を
本当に返していけるのかどうかについて検証してみましょう。


国税庁によると年収500万円の方の税金や社会保険料を差し引いた
可処分所得は約380万円ぐらいです。


この可処分所得380万円から住宅ローンの
年間返済合計額175万円を差し引くと205万円が残ります。


実際には13年間住宅ローン控除がありますので
ざっくり毎年約50万円の税額控除がありますから


生活費として使えるお金はこの50万円を足した年255万円、
毎月にすると約21万円になります。


2020年11月の総務省家計調査によると、


2人以上の勤労者世帯の消費支出は
住居費を除くと月約24万円ですから、

 

これだと毎月3万円の赤字になってしまいます



もっともこれは全国の平均値ですし、
年収によってバラつきはあるのでしょうが、


ここから削れるのは食費や娯楽費
ぐらいしかないと思います。


これだと、細かく節約したとしても
収支はトントンぐらいになってしまい、


貯金は一切出来ませんし、
生活はかなり苦しいと思います。


さらに子供がもう1人生まれたり、
万一会社をリストラされでもしたら


ローンはすぐに返せなくなって
ローン破綻してしまうかもしれません。


子供が1人生まれると教育費だけでも
約1,000万円近くかかってしまいます。


このようにフラット35や民間の返済基準で
ローンをめいいっぱい借りて家を買う人は


常に綱渡り状態で生活しなければいけない
ということになってしまうのです。


一生に一度の買い物だからと


『嫁もパートに出るから頑張ればなんとかなる!』


と言って、融資限度ギリギリまで借りてしまうと、
後々後悔することになってしまうかもしれません。


それでは、いくらぐらいまでなら
借りてもいいのかというと、


住宅ローンは最高でも

 

可処分所得の25%まで



に、押さえておくことがいいと思います。


具体的にシミュレーションしてみますと、


先程のように年収500万円の可処分所得は
約380万円ですから、25%ということは、


380万円×25%で年間95万円
毎月のローン返済は約8万円になります。


この返済額で購入できる住宅の限度額はフラット35の
固定金利1.5%で35年返済とすると約2,700万円になります。


残る生活費は可処分所得380万円+住宅ローン控除が年間約30万円、
そこからローン返済95万円を引くと315万円となり


家計の消費可能額は毎月26万2,500円になります。


先程の消費可能額は月約21万円でしたので先ほどより
月約5万円家計に余裕が出てきます。


ただし、そうは言ってもローンを可処分所得の25%に
抑えればいいということではありません。


なぜなら、住宅ローン控除が14年目からは
なくなってしまうので


それまでに収入が上がっていなければ
家計はやっぱり厳しくなってしまうからです。


給与の額面35%を返済の基準として
返済計画を立てるよりも、


随分と気持ちは楽になりますよね。


さて、今回のテーマはいかがでしたでしょうか?


このように住宅ローンを考える場合には
返済額は最高でも可処分所得の25%以内に抑えることが大切で、


人生には子どもが増えたりリストラされたり
不測ののイベントがあるので、

 

収入がギリギリの状態では
絶対に家は買うべきではない



そして、マイホームの購入は実は不動産投資と同じで
投資の感覚で資産価値を判断しなければいけませんし、

 

家を買うなら価値の下がらないもの



つまり純資産が常にプラスになっている
家じゃないといけないんです。


例えば、日本の新築住宅は買った途端に
値が下がるようになっていて

 

買った瞬間に債務超過になってしまいます



これは、新車を買った時に新古車として
すぐに売ってしまうと値が下がってしまうように、


デベロッパーや販売店の利益が、
そこに乗っかっているからです。


そして、日本の家の場合は負債と資産価値が
ちょうど一致するのに20年くらいかかります。


それならば、値段が落ちきった
築20年の家を買ったほうが賢いのに、


新築を買って債務超過になってしまう。


そして、売りたい時に売れないし
貸したとしても利回りが低くて儲からない。


ということになってしまいます。


国交省の調査によると
新築を買った理由の第1位が


「新築のほうが気持ちいいから」


なのですが、


こういう感覚的なエモーションで
家を買っちゃいけないということです。


家の購入は人生を大きく変えてしまうほどの
本当に重大な決断にありますから、


「マイホーム購入で絶対に失敗したくない!」

「この機会に不動産投資も学んでみたい」


という方は、

 

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一般財団法人 日本不動産コミュニティー
J-REC事務局 横山千穂