不動産実務検定ブログ

2021/06/15

『事故物件の告知義務が明確になるか?』

みなさん、こんにちは。
J-REC 千葉支部 浦安SGのアユカワタカヲです。


「自分の所有物件が事故物件になる」・・・考えたくないですよね。


でも、可能性はゼロではないです。
覚悟も必要ですよね。


ということで、今日は事故物件の告知義務についてのお話です。



2021年5月20日、国土交通省は、
過去に人の死が生じた不動産、いわゆる「事故物件」について、

不動産業者(貸主・売主)が売買・賃貸の契約者(借主・買主)に
告知すべき対象などをまとめた、ガイドライン案を初めて公表しました。


今回、国交省が公開したのは
『宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン』(案)です。


現状は、まだ(案)の状態です。


事故物件でポイントとなるのが、「心理的瑕疵」ですね。

事故が起きた物件では、その後取引に当たって、
借主・買主に心理的な抵抗が生じる恐れがあります。


そのため事故が起きた物件であるということを事前に告知の必要が生じます。


宅建業法では「告知の必要がある」と明記されているものの、
どこまで告知が必要かが明記されていなかったので、
これまで様々な解釈や都市伝説的解釈まで存在いたしました。


今回のガイドライン(案)は、

安心した取引を目指しトラブルの未然防止の観点から、
現時点においての判例や取引実務に照らして妥当と考えられる
一般的な基準として整理したとされています。


気になるポイントを紹介します。



【告知が必要な状況は?】

室内での他殺や自殺、事故死は「告知する事項」だと明記されています。
必要期間は、賃貸借契約においては、特段の事情がない限り、発生から3年間です。



【なぜ他殺や自殺、事故死が該当?】

これまで不動産取引の際、その不動産において、
過去に他殺、自殺、事故死が生じた場合には、買主が売主に対して説明義務違反などを理由とする、
損害賠償責任を巡る多くの紛争がみられるためです。



【3年間の理由は?】

心理的瑕疵が薄まるには2~3年がかかるとされており、
ガイドラインの3年間という基準もこれに即したものと見られます。



【病死、老衰などの自然死のケースは?】

自然死や日常生活における不慮の死は、
「告知の必要はない」と明記されています。

現状でも、このような自然死が発生した場合、
一般的には心理的瑕疵を告知しないことが多いです。

ちなみに統計を見ると自宅の死因割合のうち、
老衰や病死による死亡が9割を占めています。

その他1割が事故死で、自宅の階段からの転落や、
入浴中の転倒事故、食事中の誤嚥など日常生活の中で生じた不慮の事故による死であるために、
自然死と同様の扱いをさけています。



【孤独死の場合は?】

今回のガイドライン(案)では例外として、
自然死でも発見が遅れて長期間の放置があり、
いわゆる特殊清掃を要するようなケースを挙げています。

この場合も通例通り、告知が必要と明記され、原則として3年間とされました。

ただし、「発見まで◯日以上が告知義務あり」という具体的な日程は明記されていません。

孤独死においては、発見までのスピードが影響の大小を分けますよね。
死亡の発見が遅れると、特殊清掃や居室に残された家具等の残置物の処理、
原状回復工事に多大な費用がかかってしまいます。




【隣接住戸や前面道路での事故、事件は?】

今回のガイドライン(案)ではマンションや一戸建てなど住宅を対象としており、
隣接住戸や前面道路での事故、事件があっても、告知の対象とはしていません。

「隣の家で殺人事件が起きた」というケースは明記されていません。

ただし、ガイドライン(案)では
「取引当事者の意向を踏まえつつ、適切に対処する必要がある」と書かれているので、
ケースバイケースというところでしょうか。



【ガイドラインに強制力は?】

今回のガイドラインの強制力はありません。

過去に人の死が生じた不動産の取引に際し、
宅地建物取引業者がガイドラインで示した対応しないということで、
宅地建物取引業法違反にはならないです。

とは言え国土交通省のガイドラインは考慮に入れるのが一般的であり、
裁判になると負ける可能性が大きいです。



最後に今後の

『宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン』(案)

の流れです。



この後6月19日の午前0時まで一般人から意見を募集するそうです。

その後6月下旬~7月上旬にかけて結果の報告・追加討議が行われ、
秋ごろにはガイドラインが公表される予定。

このガイドラインは私たち大家にとってひとつの指針となるのは間違いありません。


注意して内容を見ていきましょう。



詳しくは私の公式YouTubeでも解説しています。


『アユカワTV  事故物件の定義が明確に 告知義務が必要なケースは?』
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 
https://youtu.be/mzQwtpvi_xE



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