不動産実務検定ブログ
2024/12/05
『中国資本の波に飲まれて』
こんにちは。
東京第4支部 でこひろし こと 小野 隆志 です。
私自身の不動産投資実体験をベースにしたストーリー仕立てのコラムです。
第1回目からご覧になりたい方はこちらまで遡ってご覧ください。
第1回目 第2回目 第3回目 第4回目 第5回目
第6回目 第7回目
私のプロフィールはこちらです。
https://www.j-rec.or.jp/koushi/channel/RtuRMuR
不動産実務検定講座募集中です。ぜひ一緒に勉強しましょう!!
【管理組合総会】
「あのぉ~、ヴィレッジフィールド402号室の
でこひろしと申します。」
「10時からの管理組合総会に来たのですが・・・
こちらでよろしかったでしょうか。」
緊張気味に、受付の女性に声を掛けた。
「あ、向かいの建物の3階で行ないますので
ご案内いたします。」
“管理組合総会” というからに、
仰々しい “会”をイメージしていたが、
案内されたのは普通の雑居ビルの一室だった。
<ガチャ>
「402号室のでこひろし様、いらっしゃいました~。」
「あ、ありがとうございます・・・」
“コ” の字に並べられた机に、
パイプ椅子が全部で6脚。
やや年配の男性が1人、座っていた。
(ん?)
「でこひろしさん、初めまして。
私、ヴィレッジフィールドの管理を担当しています、
安田と申します。さ、どうぞお掛けください」
(あれ?他の人は?)
時計を見ると9時50分。
開始時間の約10分前だ。
このマンションは全部で32世帯のはずだが、
どう頑張って目を凝らしても、
部屋には自分と、
この管理担当を名乗る安田さん以外いないのだ。
「もう少々お待ちください。
あと、お二方参りますので」
程なくすると、ピンクのワンピースを着た、
自分よりも二周りほど年輪を刻まれたであろう女性が現れた。
どっからどう見ても特徴的過ぎるその様に驚いていると、
「あら、今年は新しい方がいらっしゃったのね!」
と、慣れた口調で安田さんに話しかける。
どうやら、馴染みの常連さんのようだ。
次に現れたのは、ピンクのおばちゃんとは正反対に、
形容のし難いくらいの、いわゆる普通のおじさんだった。
「こんにちは。」
口数も少ない。
更に、定刻間際に管理担当者がもう1名加わり、
管理組合総会なるものが開催された。
全部で5名での開催だ。
(え!こういう感じ?!)
この翌年度も、またその次の年も・・
この物件の管理組合総会は、毎回この5人だった。
「出なくても良いんじゃないか」
という葛藤は毎年あったものの、
あのピンクのおばちゃんがどうしても気になってしまい、
なんだかんだ出席し続けていた。
ただ、メリットもあった。
物件に関する様々な話が聞ける点が一番だろう。
・ほとんどの部屋が ”投資用” として所有されていたこともあるが、
皆、管理組合総会には出席しないこと。
・最近は、所有者が日本人から中国人にシフトしてきて、
モラルが低下してきている。
具体的には、管理費の滞納とか、
管理組合からのアナウンスに対してもリアクションが無いなど。
・修繕積立金が少なく、
増額を検討した方が良いと考えている。
・中国資本により高値での購入オファーが多く、
最近は物件を手放す日本人オーナーが増えてきている。
などなど・・
こういった話が聞けることで、
その物件の真の状況が見えてくる。
ピンクのおばちゃんに会えることも勿論だが、
わざわざ出向いてまで出席したのは、
こういったメリットもあったからだろう。
【物件売却オファーの嵐】
管理組合総会で、中国資本の話題が出始めた頃・・
自宅には “物件売却” の文書が
複数の不動産会社より届くようになっていた。
<ご所有されている「ヴィレッジフィールド」について、
こちらの物件の購入を検討されているお客様が多数います。
弊社は収益物件の売買を専門に・・・・・
是非、弊社に売却をお任せください。>
最初のうちは、サラッと見て、
すぐに紙ゴミ直行だったが・・・
何度も何度も届くうちに、少しずつ気になり始めてきた。
(ちなみに、いくらくらいで売れるのかな?)
(というより、所有者情報はどこから漏れているのだろう?)
この物件は「個人」で購入していたため、
最低でも5年間は所有するつもりだったが、
その内、電話にまで連絡が来るようになってきた。
「プルルルルルー、プルルルルルー」
(知らない電話番号だ・・)
「ご所有の不動産ですが・・・(中略)
・・・700万円では如何でしょう。」
「いや、短期譲渡になるので
売却するつもりはありません。すみません。」
「でこさん、750万円では如何でしょうか。」
「またあなたですか。
今は売却するつもりはないと先日もお伝えしたじゃないですか。」
「800万円であれば検討できますか。」
「うっ・・いや、それでも・・うーん、
魅力的な金額ですけど・・やはりすみません。」
「でこさん、お久しぶりです。
因みにいくらだったら売却できそうですか」
(え??言い値??)
(うーん、1000万円って言ってみようか。
いや、いくら何でも失礼過ぎるかな・・・)
「950万円であれば検討します。」
(あ、言っちゃった・・・)
しばしの沈黙・・
(少し吹っ掛け過ぎちゃったかな・・)
「分かりました。最終確認しますが、
950万円で調整させてください。」
(え?ほんとに?!)
【ピンクのおばちゃんとの別れ】
「あ、もしもし、402号室のでこひろしですけど、
安田さんでしょうか。」
「この度、402号室を売却することになりまして。」
安田さんは驚いた様子もなく、
「あ、でこさんお久しぶりです。承知しました。
今、かなり値上がりしてますもんね。」
「管理組合総会、寂しくなりますね。」
「いままで、本当にお世話になりました。
皆様(ピンクのおばちゃんにも)によろしくお伝えください!」
(何だか、無性に寂しさを感じる)
そう、でこひろしは、あえなく
短期譲渡での売却を決断してしまったのだった。
目先の利益に目が眩み・・・思わず・・・。
<つづく>
※ この物語は事実をベースにしていますが、
あくまでもフィクションです。
実在の人物や団体、また出来事に関しては、
類似があったとしてもそれは偶然です。
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1日目 2025/01/15(水) 6:00-7:00
2日目 2025/01/17(金) 6:00-7:00
3日目 2025/01/20(月) 6:00-7:00
4日目 2025/01/22(水) 6:00-7:00
5日目 2025/01/24(金) 6:00-7:00
6日目 2025/01/27(月) 6:00-7:00
7日目 2025/01/29(水) 6:00-7:00
8日目 2025/01/31(金) 6:00-7:00
9日目 2025/02/03(月) 6:00-7:00
10日目 2025/02/05(水) 6:00-7:00
11日目 2025/02/07(金) 6:00-7:00
12日目 2025/02/10(月) 6:00-7:00
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でこひろしと申します。」
「10時からの管理組合総会に来たのですが・・・
こちらでよろしかったでしょうか。」
緊張気味に、受付の女性に声を掛けた。
「あ、向かいの建物の3階で行ないますので
ご案内いたします。」
“管理組合総会” というからに、
仰々しい “会”をイメージしていたが、
案内されたのは普通の雑居ビルの一室だった。
<ガチャ>
「402号室のでこひろし様、いらっしゃいました~。」
「あ、ありがとうございます・・・」
“コ” の字に並べられた机に、
パイプ椅子が全部で6脚。
やや年配の男性が1人、座っていた。
(ん?)
「でこひろしさん、初めまして。
私、ヴィレッジフィールドの管理を担当しています、
安田と申します。さ、どうぞお掛けください」
(あれ?他の人は?)
時計を見ると9時50分。
開始時間の約10分前だ。
このマンションは全部で32世帯のはずだが、
どう頑張って目を凝らしても、
部屋には自分と、
この管理担当を名乗る安田さん以外いないのだ。
「もう少々お待ちください。
あと、お二方参りますので」
程なくすると、ピンクのワンピースを着た、
自分よりも二周りほど年輪を刻まれたであろう女性が現れた。
どっからどう見ても特徴的過ぎるその様に驚いていると、
「あら、今年は新しい方がいらっしゃったのね!」
と、慣れた口調で安田さんに話しかける。
どうやら、馴染みの常連さんのようだ。
次に現れたのは、ピンクのおばちゃんとは正反対に、
形容のし難いくらいの、いわゆる普通のおじさんだった。
「こんにちは。」
口数も少ない。
更に、定刻間際に管理担当者がもう1名加わり、
管理組合総会なるものが開催された。
全部で5名での開催だ。
(え!こういう感じ?!)
この翌年度も、またその次の年も・・
この物件の管理組合総会は、毎回この5人だった。
「出なくても良いんじゃないか」
という葛藤は毎年あったものの、
あのピンクのおばちゃんがどうしても気になってしまい、
なんだかんだ出席し続けていた。
ただ、メリットもあった。
物件に関する様々な話が聞ける点が一番だろう。
・ほとんどの部屋が ”投資用” として所有されていたこともあるが、
皆、管理組合総会には出席しないこと。
・最近は、所有者が日本人から中国人にシフトしてきて、
モラルが低下してきている。
具体的には、管理費の滞納とか、
管理組合からのアナウンスに対してもリアクションが無いなど。
・修繕積立金が少なく、
増額を検討した方が良いと考えている。
・中国資本により高値での購入オファーが多く、
最近は物件を手放す日本人オーナーが増えてきている。
などなど・・
こういった話が聞けることで、
その物件の真の状況が見えてくる。
ピンクのおばちゃんに会えることも勿論だが、
わざわざ出向いてまで出席したのは、
こういったメリットもあったからだろう。
【物件売却オファーの嵐】
管理組合総会で、中国資本の話題が出始めた頃・・
自宅には “物件売却” の文書が
複数の不動産会社より届くようになっていた。
<ご所有されている「ヴィレッジフィールド」について、
こちらの物件の購入を検討されているお客様が多数います。
弊社は収益物件の売買を専門に・・・・・
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何度も何度も届くうちに、少しずつ気になり始めてきた。
(ちなみに、いくらくらいで売れるのかな?)
(というより、所有者情報はどこから漏れているのだろう?)
この物件は「個人」で購入していたため、
最低でも5年間は所有するつもりだったが、
その内、電話にまで連絡が来るようになってきた。
「プルルルルルー、プルルルルルー」
(知らない電話番号だ・・)
「ご所有の不動産ですが・・・(中略)
・・・700万円では如何でしょう。」
「いや、短期譲渡になるので
売却するつもりはありません。すみません。」
「でこさん、750万円では如何でしょうか。」
「またあなたですか。
今は売却するつもりはないと先日もお伝えしたじゃないですか。」
「800万円であれば検討できますか。」
「うっ・・いや、それでも・・うーん、
魅力的な金額ですけど・・やはりすみません。」
「でこさん、お久しぶりです。
因みにいくらだったら売却できそうですか」
(え??言い値??)
(うーん、1000万円って言ってみようか。
いや、いくら何でも失礼過ぎるかな・・・)
「950万円であれば検討します。」
(あ、言っちゃった・・・)
しばしの沈黙・・
(少し吹っ掛け過ぎちゃったかな・・)
「分かりました。最終確認しますが、
950万円で調整させてください。」
(え?ほんとに?!)
【ピンクのおばちゃんとの別れ】
「あ、もしもし、402号室のでこひろしですけど、
安田さんでしょうか。」
「この度、402号室を売却することになりまして。」
安田さんは驚いた様子もなく、
「あ、でこさんお久しぶりです。承知しました。
今、かなり値上がりしてますもんね。」
「管理組合総会、寂しくなりますね。」
「いままで、本当にお世話になりました。
皆様(ピンクのおばちゃんにも)によろしくお伝えください!」
(何だか、無性に寂しさを感じる)
そう、でこひろしは、あえなく
短期譲渡での売却を決断してしまったのだった。
目先の利益に目が眩み・・・思わず・・・。
<つづく>
※ この物語は事実をベースにしていますが、
あくまでもフィクションです。
実在の人物や団体、また出来事に関しては、
類似があったとしてもそれは偶然です。
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2日目 2025/01/17(金) 6:00-7:00
3日目 2025/01/20(月) 6:00-7:00
4日目 2025/01/22(水) 6:00-7:00
5日目 2025/01/24(金) 6:00-7:00
6日目 2025/01/27(月) 6:00-7:00
7日目 2025/01/29(水) 6:00-7:00
8日目 2025/01/31(金) 6:00-7:00
9日目 2025/02/03(月) 6:00-7:00
10日目 2025/02/05(水) 6:00-7:00
11日目 2025/02/07(金) 6:00-7:00
12日目 2025/02/10(月) 6:00-7:00
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